高校生のころからバイクに乗り始め、還暦を超えた現在でも、暇を見つけてはバイクを走らせています。バイクに乗って風を全身に感じているときは、まさに、生きている実感を覚えてなりません。おそらく、一生、バイクからは離れられないことと思います。
そんな私のバイク仲間の一人が、このたび古希を迎えました。
仲間といういい方は、人生の先輩である彼に対して失礼かもしれませんが、とても古希には見えない若々しさを漂わせている人物なのです。いつも笑顔を絶やすことなく、それでいて、かなり冷静で知的な側面を持っているのです。
そんな彼ですから、人望を集めているのは言うまでもありません。彼の古希を祝ってのツーリングをしようとの声が、自然発生的に上がってきました。もちろん、私も大賛成でした。
彼には古希を祝う名目で先頭を走ってもらい、二泊三日湘南の旅を提案したのです。
ちょうど、彼の生まれ育ったところが湘南であるということもあって、メモリアルなイベントにはふさわしい地ではないかと判断したからです。全員が賛同してくれて、実行の運びとなりました。
ツーリング当日は、まさに彼の古希を祝うかのように、見事なまでの晴天でした。彼がスズキのGSX1100Sに乗っている姿が渋く、心からの憧れを感じたのは、私だけではなかったでしょう。
鎌倉、茅ヶ崎、江ノ島とまわり、美しい自然を堪能させてもらいました。夜は、海の幸に舌鼓を打ちながら、バイク談議に花を咲かせました。バイク好きが話をしだすと、文字通り、尽きることがありません。武勇談か失敗談かわからないような話が深夜まで続きました。あらためて、このツーリング仲間は、みな、大のバイク好きなのだということを思い知った次第です。
今回の二泊三日湘南の旅は、天気にも恵まれアクシデントもなく、無事に終えることができました。そして古希のお祝いに世界にひとつしかないプレゼントも贈ることができました。
古希といえば、まぎれもなく高齢者に属する年代ですが、少なくとも、彼に関して言えば、老人の空気は全くありません。姿勢といい、顔の表情といい、柔軟な発想といい、あらゆる点で若者そのものだといっていいでしょう。さらに、スズキのGSX1100Sに乗っている姿が渋く、私にも強烈な希望の灯りをともしてくれたと感謝しています。年齢を重ねても、彼のようなバイク乗りとして、全国を疾駆したいと強く感じた私です。何よりも、彼がこの企画を喜んでくれていることが私たちにも伝わってきて、それが何よりの収穫であったと思います。